お役に立つ情報をご案内します。
小野事務所ニュースレター

こんにちは、社会保険労務士小野事務所です。

6月は、梅雨の時期ですが、九州は梅雨明け宣言が発表されました。今年は最短のようです。気候変動で最近は季節感がなくなってきたようです。家の庭先にアジサイの花が美しく咲いています。アジサイの花は実は花ではなく、花を保護する役割を持つ「がく」が発達したものです。

 

小野事務所ニュースレターをご案内いたします。ご参考になれば幸いです。

 

主な内容は

  1. 小野事務所通信月号 
  2. [令和7年3月28日公布]高年齢者雇用確保措置に関する経過措置の終了に伴う省令・告示の改正

高年齢者雇用確保措置に関する経過措置が令和7年3月31日をもって終了することを踏まえ、高年齢者雇用安定法に係る省令・告示(指針)について、所要の改正を行うこととされました。

  1. 両立支援助成金と人材確保等支援助成金について
    好評のため再掲します。賃金表、評価基準作成を小野事務所作成のプログラミングで簡単に作成します。
  2. 労働判例「管理監督者性が争点となった事案」

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  • 小野事務所通信6月号

令和7年度の労働保険の年度更新期間は6月2日(月)~7月 10 日(木)です

令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について

国税庁が情報提供開始

2025 年版 中小企業白書・小規模企業白書を公表(中小企業庁・経産省)

https://drive.google.com/file/d/1MpargdJQ3oGcqN_4cfN3UvE2YQMm5Rc-/view?usp=drive_link

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  • 高年齢者雇用安定法に係る省令・告示(指針)について、所要の改正を行うこととされました。

    平成24年度までに、労使協定により継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めていた事業主は、経過措置として、老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について、継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることができることとするもの(この経過措置が、令和7年3月31日をもって終了)。

就業規則の変更が必要です。60歳定年の企業は職員が希望すれば、就業規則の懲戒解雇事由に該当しなければ65歳までの雇用確保が必要となります。

下記厚労省説明リーフレットです。

≫ https://www.mhlw.go.jp/content/11700000/001244075.pdf

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  • 両立支援助成金と人材確保等支援助成金について

A 両立支援助成金

育児休業取得者や短時間勤務者の業務を代わりに行う労働者に手当を支給
業務代替手当が拡充されました。

下記をご覧ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/001472912.pdf

 

B人材確保等支援助成金
大きな柱が以下になります。手間が必要な作業は、賃金表の作成、評価基準の作成です。小野事務所は独自のプログラミングで簡単に作成します。

本助成金における雇用管理制度とは、以下の5つを指します。

①賃金規定制度:賃金規定および賃金表を整備する取り組み

②諸手当等制度:諸手当制度、退職金制度または賞与制度を導入する取り組み

③人事評価制度:生産性向上に資する人事評価制度を導入する取り組み

④職場活性化制度:メンター制度、従業員調査(エンゲージメントサーベイ)または1on1ミーティングを導入する取り組み

⑤健康づくり制度:人間ドックを導入する取り組み

⑥業務負担軽減機器等の導入

 

 

令和6年度までは人事評価改善等助成コースが支給額80万円でした。生産性向上に結び付ける人事評価と賃金上昇3%が要件でした。今回はこの要件がなくなりました。

上記①②③がそれぞれ40万円賃金5%アップで追加10万円です。 ④⑤はそれぞれ20万円、賃金5%アップで追加5万円です。

 

さらに業務負担軽減機器等の導入 対象経費の1/2 150万円(上限)、賃金5%アップで追経費の62.5/100、上限187.5万円です。

 

他に、離職率の低下目標の目標値を達成していること。

 

支給要件を満たした場会、最大287.5万円の支給になります。

 

興味のある方は、小野事務所までお問い合わせください。

下記をご覧ください。

 

https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001478586.pdf

 

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4.判例について(PSRnetwork記載)

 

管理監督者性が争点となった事案

 

医療系ガラス製品メーカーの事案

静岡地方裁判所令和6年10月31日判決

事案の概要

原告は令和2年10月1日に品質保証室執行役員、医薬品担当部長として被告に採用された。その後、令和3年9月3日にメニエール病にり患していること、目が回る症状があることを申告した。

 

被告は、原告が相当日数の病欠があったことなどから、病気の治癒及び勤務可能になるまで自宅待機及び在宅勤務を命じた。

 

令和3年9月29日に自宅療養が必要であるとの診断書を提出、10月8日に末梢性めまい症により、12月31日まで自宅での安静加療を要するとの診断書を原告は被告に提出した。被告は原告を休職とし、その期間は順次延長された。令和4年3月8日、被告は原告に復職にあたって試し勤務をするよう求め内容に関して協議したが、原告は要望が受け入れられないとして拒否した。

 

原告が休業期間中に復職できなかったことを理由として就業規則に基づき普通解雇した。原告は時間外勤務手当の支払い及び労働契約上の地位にあることの確認を求めた。

 

判旨

「管理監督者に当たるか否かは、その職務の名称にとらわれず、(a)職務内容、権限及び責任の重要性に照らし、労務管理を含め、企業全体の事業経営に関する重要事項にどのように関与しているか、(b)その勤務実態に照らし、法定労働時間の枠を超えて勤務する必要があり、その勤務実態が労働時間等に対する規制になじまないものであるか否か等、(c)給与(基本給、役付手当等)または賞与の全体において、管理監督者にふさわしい待遇がされているか否かなどの諸点から判断する必要があるというべきである。」として、本件原告は管理監督者にあたると判断され、時間外手当の請求が棄却された(普通解雇についても有効とされた)。

解説

本件では病気が理由となって勤務ができない状況となり、休職をした原告が、復職に向けての試し勤務を拒否したため、就業規則に基づき解雇された事案である。

 

試し勤務の条件について、会社はもともとの原告の給与ではなく、静岡県の最低賃金である時給をもとに提案したものであった。裁判所は、試し勤務の期間も休職期間中であるので、雇用契約どおりの賃金請求権は発生しないのが原則であるとし、雇用契約の債務の本旨(本来の契約内容の実現)ではないので、業務内容によって減額されることは不当ではないとした。

 

全ての事案でこの原則を適用すると判断してしまうことは避ける必要があるが、少なくとも本件では試し勤務の条件についてはさらに話し合うと会社は申し入れていたこと、原告の要望を一部受け入れていたことから、一方的に試し勤務の条件を決定したものではないという事情が考慮されている。

 

そして、管理監督者としての要件について裁判所は「経営者と一体的立場」といっているが、経営者と一体的な立場にあるというのは、担当する組織部分について、経営者の分身として経営者に代わって管理を行う立場にあることを意味するにとどまる、と判示し、当該労働者がその職務内容の点で、少なくともある部門全体の統括的な立場にあるか否かという観点からの検討を行えば足りるとした。

 

この判示を前提に当てはめを行い、執行役員であったこと、その他権限を検討した上で、管理監督者に該当するとした。

 

このような判決を単純に当てはめることには注意を要するが、一定の部門の統括的地位にあるものに該当するかの基準として参考となる。

概要

被告会社に執行役員、医薬品担当部長として採用された原告が、病気により休職し、復職できずに普通解雇となった事案で、時間外勤務手当を請求したが、部門の統括者としての地位にあったと判断され、管理監督者に該当するとして請求が認められなかった。

 

執筆者

弁護士坂本正幸

東京大学法科大学院前専任講師。特定社労士認定講師。

 

 

 

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