年休管理マスタ、マイナンバープラス、労働判例等を小野事務所ニュースレター配信いたします。
社会保険労務士小野事務所ニュースレター
社会保険労務士小野事務所ニュースレター

こんにちは、社会保険労務士小野事務所です。

小野事務所ニュースレターをご案内いたします。

台風が8月は多く発生しました。特に台風10号は当初の予報と大きくルートが変わり、臨時休校や、企業の休業が行われました。今後も台風の発生が予報されています。日頃から災害準備を確認し、社内で共有しまししょう。

主な内容は

  1. 小野事務所通信8月号、9月号
  2. 法改正 フリーランス法(令和6年11月1日施行)必ず確認しましょう。取引をされている事業所は確認してください。重要です。
  3. 休業補償と休業手当の違いについて
  4. オフィスステーションより7月から新しい機能「マイナンバープラス」の動画案内(YouTube)

  10分程度です。DX化取組に是非ご覧ください。

  1. 労働判例 事業場外労働みなし制の適用がされるべきとして残業代請求を認めなかった事例

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

1.小野事務所通信
・8月号

育児休業給付金の支給対象期間延長手続きを見直し(令和7年4月~)

育児休業給付金の支給対象期間は、原則として子が1歳にする日前までですが、保育所等に入れなかった場合には、子が1歳6か月に達する日前まで(再延長で2歳に達する日前まで)延長されます。この延長の手続きが、雇用保険法施行規則等の改正により、厳格化されることになりました(令和7年4月1日施行)。そのポイントを確認しておきましょう。

https://drive.google.com/file/d/0B2fthy759ci7cGlacmNUejYxQlU/view?usp=drive_link&resourcekey=0-2YBjYzG1pffyd0CvweY-Ow

・9月号

  1. 厚生労働省は、令和5年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、監督指導事例とともに公表しました。令和5年度の監督指導実施状況のポイントと主な監督指導事例を確認しておきましょう。

令和5年4月から令和6年3月までに、26,117事業場に対し監督指導を実施し、21,201事業場(81.2%)で労働基準関係法令違反が認められた。

<主な法違反>・違法な時間外労働があったもの→11,610事業場(44.5%)

・賃金不払残業があったもの→1,821事業場(7.0%)

・過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの→5,848事業場(22.4%)

  1. 労働者死傷病報告、定期健康診断結果報告などの電子申請が原則義務化(令和7年1月~)

     労働安全衛生規則の改正により、令和7年1月1日から、労働安全衛生関係の一部の手続について、電子申請が原則義務化されます。対象となる手続を確認しておきましょう。

 

  1. 定年後の賃金水準 定年前の8割以上とする企業が増加

内閣府から、令和6年度「年次経済財政報告(経済財政白書)」が公表されました。

今回の白書のテーマの一つに「高齢者就業の現状と課題」が含まれており、高齢労働者が培ってきた知識や経験といった有形・無形のストックについて、これをいかに有効に活かし、経済につなげていけるかが議論されています。そのなかで取り上げられていた「定年後の高齢雇用者の賃金水準」に関する分析の内容が話題になっています。

https://drive.google.com/file/d/0B2fthy759ci7YnZCUm5TY2Ryb00/view?usp=sharing&resourcekey=0-RreFxCSwfqNZBf1mNEhorA

 

 

2.    フリーランス法(令和6年11月1日施行)

いわゆる「フリーランス・事業者間取引適正化等法」は、個人で働くフリーランスに業務委託を行う発注事業者に対し、業務委託をした際の取引条件の明示、給付を受領した日から原則60日以内での報酬支払、ハラスメント対策のための体制整備等を義務付けるものです。

法の取引の適正化に係る規定については主に公正取引委員会及び中小企業庁が、就業環境の整備に係る規定については主に厚生労働省がそれぞれ執行を担うことになっています。

公正取引委員会・厚生労働省は、それぞれ、特設サイトを設けて、いわゆる「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の周知を図っていますので、これらのサイトのURLを紹介しておきます。

<公正取引委員会:フリーランスの取引適正化に向けた公正取引委員会の取組>

 

※YouTubeで分かりやすく瀬罪しています。下記は公正取引委員会のサイトです。

 

 

https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited.html

 

<厚生労働省:フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ>

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyoukintou/zaitaku/index_00002.html

 

フリーランスに支払は原則、給付や役務提供から60日以内にできるだけ早く支払うよう期待されています。また、再委託の場合の特例等も案内されています。守られない場合は公正取引委員会が勧告をします。又フリーランスが育児介護を両立支援できるよう配慮に努めるよう義務付けされています。

 ハラスメント対策の措置が義務付けされています。改めてフリーランスと取引される方は」確認をしてください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

3. 休業補償と休業手当の違いについて

台風10号が九州地区では8月29日、30日と大きな被害をもたらしました。この時期、学校や事業所が休業になり休業手当を支給するケースがありました。、休業手当(きゅうぎょうてあて)は、労働基準法(昭和22年法律第49号)等に基づき、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に労働者に支払われる手当です。その休業期間中は、労働者に対して平均賃金(「平均賃金」参照)の100分の60以上の休業手当を支払わなければなりません。企業は就業規則に規定した内容を支払います。

休業補償は①業務上の事由または通勤による負傷や疾病による療養のため、②労働することができないため、 ③賃金を受けていない、という3要件を満たす場合に、その第4日目から、休業(補償)等給付と休 業特別支給金が支給されます。支給額は次のとおりです。 ・単一事業労働者(一の事業場のみに使用されている労働者)の場合 休業補償給付、休業給付=(給付基礎日額の60%)×休業日数 休業特別支給金=(給付基礎日額の20%)×休業日数

休業手当の場合、8月29日、30日が休日や病気で休職期間は労働日ではないので休業手当は支払う必要はありません。休業補償は所得税非課税所得ですが、休業手当は賃金になりますので課税所得になります。

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

4,オフィスステーションより7月から新しい機能「マイナンバープラス」が始まりました。主な機能は顧問先の皆様に小野事務所からオフィスステーションのアカウントを発行します。顧問先、または小野事務所が社員にマイページを発行します。

顧問先皆様へマイナンバープラスの機能を10分程度で分かりやすくご覧ただけます。(YouTube)

https://www.youtube.com/watch?v=d-SpLY9dUcU

 

マイナンバープラス 案内 URL

https://officestation.my.salesforce.com/sfc/p/#0o000000RKa3/a/RC0000011UzZ/dZ.G5ecm8JnG4q_SDYFmx.saWnuZGmRGjhBW_xc6SYg

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

5.判例について(PSRnetwork記載)

事業場外労働みなし制の適用がされるべきとして残業代請求を認めなかった事例

最高裁第三小法廷令和6年4月16日判決

 

事案の概要

上告人は外国人技能実習生の管理等を行う団体である。被上告人は外国人技能実習生の指導員として勤務していた者である。本件では被上告人が上告人に対して未払割増賃金(82万7948円)の支払いを求めていた事件である。

 

争点は被上告人の勤務が事業場外労働みなし制度の適用のある「労働時間を算定しがたいとき」に該当するかであった。

 

上告人では、タイムカード式の出退勤管理から、通訳や外部での業務を行う従業員については出退勤を記録した書面の提出に変更していた。

 

原審では労働時間の正確性を確認できることを理由として労働時間を算定しがたいときに該当しないとして割増賃金の支払いを命じていた。

 

判旨

本件業務は、実習実施者に対する訪問指導のほか、技能実習生の送迎、生活指導や急なトラブルの際の通訳等、多岐にわたるものであった。また、被上告人は、本件業務に関し、訪問の予約を行うなど自ら具体的なスケジュールを管理しており、所定の休憩時間とは異なる時間に休憩をとることや自らの判断により直行直帰することも許されていたものといえ、随時具体的に指示を受けたり報告をしたりすることもなかったものである。

 

このような事情の下で、業務の性質、内容やその遂行の態様、状況等、業務に関する指示及び報告の方法、内容やその実施の態様、状況等を考慮すれば、被上告人が担当する実習実施者や1か月あたりの訪問指導の頻度等が定まっていたとしても、上告人において、被上告人の事業場外における勤務の状況を具体的に把握することが容易であったと直ちにはいい難い、として原判決を取り消して差し戻した。制度である」とし、復職可能であるかの立証責任は労働者にあるという判断を示し、「治ゆ」についても休業前の業務ができるかの判断であるとして、本件ではその程度までの回復が立証されていないとして請求を認めなかった。

 

解説

本件では、第1審及び原審では、業務日報を提出することになっており、その日報には具体的な始業時刻及び終業時刻、行先や面談相手等、業務の遂行状況が記載されていること、かつ、その内容の正確性を確認することが可能であること、および、携帯電話を利用して必要に応じて業務の指示を出したり、報告を求めたりすることができる体制がとられ、労働時間の正確性を担保できたことを理由として事業場外労働のみなし制の適用を否定していた。

 

事業場外労働の場合、どのように休憩をとっているか、移動がどのように行われているか、を雇用主で把握することは困難であり、また、もともと一定の自由な裁量をあたえていなければ業務が遂行できないこともあり、労働時間を算定し難いときというみなし制の適用が考えられる。本件では業務の性質上直行直帰も認められていた。

 

本件では原審は、業務日報に訪問先などが書かれているので確認できること、雇用主が業務日報の正確性を前提に時間外労働の算定をして残業代を支払う場合があったことから、正確性を担保することができるとした。

 

つまり、雇用主が労働時間を計算できることから算定が困難とは言えないとした。

 

しかし、現実として、従業員がどこに訪問していたかを相手方に確認することは考えられず(通常こういったことを行うのは特に従業員に問題があるケースなどに限られるであろう。労働実態の確認を雇用主が行うことは通常期待できない)、業務日報のよって計算して残業代を支払っていたことがあるとしても、日報を信用していたことがあったとしてもそれが客観的に労働時間を証明するものではなく、雇用主が便宜的に利用していたこともありうるので、そのことをもって労働時間が算定困難ではないとは言えない。

 

この理由で最高裁は原判決を取り消した。

 

原判決は実際に可能かどうか、あるいはそれを行うことが通常あるか、あるいは行うことの意味があるか、というのを理解しないまま判決をしたと考えられる。

 

最高裁は実態にあった判断を行ったものといえる。

 

概要

通訳や外部での仕事が中心であり、タイムカード制から日報制に変更された。被用者は残業代を請求したが、雇用主は事業場外労働みなし制を適用していた。原審は労働時間が管理できるとして残業代請求を認めたが、最高裁はみなし制の適用がされるべきとして残業代請求を認めなかった。。

 

執筆者

弁護士坂本正幸

東京大学法科大学院前専任講師。特定社労士認定講師。

 

 

Facebook
正しく表示されない場合はこちら
このメールは、社会保険労務士小野事務所からのメール配信をご希望された方に送信しております。 今後メールの受信をご希望されない方は、こちらから配信停止手続きが行えます。

上到津4丁目11-7-503, 北九州市小倉北区, 福岡県, 803-0345


|